カワイイxカガク

女子中高生がiPhone・iPodを使ってプログラミングする「ソーシャルロボット」

 取材日:2015年8月26日main

今年で5回目となる津田塾大学山梨英和大学が主催する「女子中高生のための情報・メディア工房」。このイベントは、女子中高生を対象に、理工系の中でも特に情報・メディア分野についての関心を持ってもらうための参加型イベントです。今年は一般社団法人 電子情報通信学会東京支部との共同主催イベントとして開催されました。

 「コンピュータ」や「インターネット」など、情報科学が社会のインフラとして欠かせない存在となっている現代社会。これからどのような進路を選択するとしても、情報やメディアについて詳しくなっていると、進路選択の幅が広がります。

 そこで、このイベントでは、午前中はIT企業の見学と女性社員との懇談会、午後はプログラミング体験ができ、一日を通して情報・メディア分野ではどのようなことが学べるのか、そして社会ではその学びはどのように活かすことができるかなど、学校では体験できない学びができる内容となっています。

 午前:企業訪問「日本マイクロソフト」

昨年に引き続き今年も日本マイクロソフト株式会社品川本社を訪問。オープニングは、現在、世界100か国、約90万人の社員が活躍するマイクロソフト社が描く少し先の未来、コンピュータやインターネットが豊かにする社会や日常生活を体験できるビデオからスタートです。

 5年後―――当たり前のように教室が世界につながっていて、必要な情報にその場でアクセスできる小学校の教室。オフィスの自分のデスクでなくても、様々な場所から職場や仲間とつながることができ、自分のライフスタイルにあった仕事ができる職場。そんな近未来が遠からずやってくることがイメージできたところで、これらの近未来を実現ために現在マイクロソフト社で活躍中の女性社員の登場です。

今回登壇いただいた先輩方は、入社年次もお仕事内容も専門分野も異なる方々ですが、皆さんに共通していることは、生活をよりよいものにするために、次にあるべきスタイルを考え、創造したいという熱い思いがあるということです。そして、自分の仕事に誇りをもって楽しく取組んでいらっしゃる姿がとても印象的な皆さんです。

そこで、先輩方から頂戴したメッセージを紹介いたします。

 ★マイクロソフトで活躍する先輩理系女子からのメッセージ

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ちょっとでも気になるなということが「きっかけ」になります。自分の中で枠を決めないで、色々なことを見て、挑戦してください。皆さんは、可能性にあふれています。そして、将来の選択肢に情報科学を加えてもらえれば嬉しいです。

 今は好きなことを好きなだけとことんやってください。そして、自分が考える進路のその先の自分を想像してみてください。

勉強と遊び、全力で取り組んでください。時には広く浅く、時には広く深く、色々なことに興味を持ってください。そして、特に日本の女性に伝えたいことは、チャレンジすることです。恥ずかしがらないで、どんどん前に!チャンスがあれば飛びついてください。未来を変えるのは他の誰でもない、あなたです。今を楽しんでください。

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【写真】日本マイクロソフト:オフィスツアーの様子 写真上:オフィスにいなくても参加できるTV会議を体験 写真下:Kinectを使ったマイクロソフト社のゲーム機「Xbox」を体験

午後:「ソーシャルロボット」

 初対面の参加者16名の女子中高生たちが、2人1組のチームになってプログラミングに挑戦します。参加者のほとんどがプログラミング未経験者でしたが、1チームにひとり津田塾大と山梨英和大の大学生メンターがつくので、安心してワークショップに参加できます。(※津田塾大学の情報科学科に入学してくる学生の7-8割はプログラミング未経験者なので、未経験者ならではの心配や問題については熟知しているそうです。)

 ★ソーシャルロボットって何?

小池星多教授(東京都市大学メディア情報学部)が、「ソーシャルロボットとは、実際の社会の現場、教育施設、医療施設、店舗などで働くロボット」と定義しています。Pepperなどの登場により、社会性を持ったロボットが私たちの身近な存在になりつつある21世紀。「ロボットのある暮らしは今までと何が違うのか?」「ロボットには何ができて、何ができないのか?」その答えを知るために、参加者たちがプログラミングに挑戦し、ソーシャルロボットを作ります。

 ★いざ、プログラミングに挑戦です!

「無理!」というざわめきが会場内から起こりましたが、「絶対できます!」「スクラッチを使って、まあ、2時間で楽勝って感じになります!」と阿部和広先生(津田塾大学・青山学院大学非常勤講師:スクラッチを使ったプログラミング教育の第一人者)。阿部先生ならではの独特の軽快なリズムとトークで、参加者をプログラミングの世界に導きます。

 今回プログラミングをするロボットは教育用ロボットRomoRomoをプログラミングすることで、どんなロボットができあがるのでしょうか?

 【今回使用するPC&端末など】

  • Microsoft Surface Pro 3
  • Apple iPod touch
  • Scratch
  • Scratch2Romo

Romo:教育用ロボット(ロボットプログラミング学習用アプリを提供)

※Scratch:米国マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが研究開発したプログラミング言語。色々なパソコンで稼働でき、マウス操作で積み木のようにブロックをつなぐことでプログラムを作成

Scratch2Romo:つくる社によるScratchとRomoの橋渡しをするiOSのアプリ

★Romoの機能を知ることで、プログラミングの考え方を理解する

「SurfaceでScratchを起動し、遠隔センサーを有効化します!」という指示のもと、パソコン上でScratchを使えるようにします。続いて、iPod touchとScratchをScratch2Romoで接続し、いよいよプログラミングスタートです。(←隣で大学生がしっかりとサポートしてくれます。)

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【写真】中央:Scratchが起動されたSurface Pro 3 右: iPod touch

まずは、Romoの顔をプログラミングで10種類に変化させます。顔の表情を設定する値(感情を表現するemotion)は1から10まであり、その数字ひとつひとつに異なる表情があります。泣き顔、怒り顔、ドヤ顔、笑い顔、落ち込み顔、すっとぼけ顔など色々な感情を伝えられます。

そして、次々と阿部先生からミッションが課せられます。

「3回連続、1秒ごとに顔の表情がかわるようにプログラムを作ってみよう。」

「changeをうまく使うことが大事です」

「次は、Romoに話をさせましょう。speechと書きsayを置き、好きな言葉をしゃべらせてみましょう。」

参加者たちは、大学生メンターの力を借りながら、「お菓子食べない?」「キイロイトリが好き?」など、女子中高生らしい言葉をRomoに話させ、その言葉にあった表情を設定します。

途中、阿部先生がわざとひとつコマンドが足りない解答例を見せ、何が抜けているかを参加者に考えさせたりしながら、少しずつ参加者はプログラミングの考え方を理解してきます。

★さあ、いよいよ自由制作!

sab-5自由制作時間は90分。限られた時間の中で、16人8グループがそれぞれのソーシャルロボットを作ります。その最初のステップがデザインシートへの記入。2人の意見をひとつにしていきます。「誰のための」、「どんなときに」、「どこで使う」、「なんのための」ソーシャルロボットを作るのかを考えます。

表情の変化を富ますことに力を入れるチーム。対話に力を入れるチーム。音に反応させることに力を入れるチーム。「なんで?なんでだ?」という声を上げながら、自分たちの表現したいプログラミングを書いて、修正して、書いて、修正して・・・と試行錯誤を繰り返しながら時間内に作品を完成させます。

 ★出来上がった作品!★

スピーチ代行ロボット、悩みを聞いてくれるロボット、癒し系会話ロボット、料理ロボットなどなど・・・アイディア満載の作品が出来上がりました。

 その一部を紹介いたします。

 目覚まし時計チーム:

時間になると「朝だよ、起きて!」というRomoの声とともにシンバルの音がなります。この声と音は、無事に目覚めて「パン」と手をたたくまで続きます。そして、「パン」の手の音と同時に「おはよう、今日も頑張って」と声を掛けてくれます。

 料理チーム:

「何を作りたいですか?」というRomoの問いかけに、「卵焼き」と答えると、Romoが手順を教えてくれます。その手順が会話型になっていることと、Romoをフライパンを使っているように前後左右に傾斜させることで、次の手順の指示が来ます。「卵を流しいれて」の指示にはRomoを前後ろに傾斜させます。すると「かきまぜて」といった次の指示が来るといった要領です。

 かまちょチーム:

かまって欲しいときにかまってくれる「かまちょロボット」は、いくつかの会話を楽しんみながら、その会話の音量や内容によって七変化に表情が変わります。そして会話を楽しんだ後には、写真撮影までしてくれるというサービス満点のロボット。「自撮り」で終わるところは、女子中高生ならではの着眼点です。

このように、参加者のほとんどがプログラミング初体験であったにも関わらず、会話や音量、Romo本体への刺激(前後左右への動き)によって、返答したり、顔の表情を変えたり、前後左右に車輪を動かしたりと、複数の入力によって様々な反応をする作品をつくりあげました。もちろん、「なんで??」「うまく連動してくれない!!」といった壁にぶち当たることもありましたが、みんな夢中で打ち込んだワークショップとなりました。

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 【写真】自由制作に没頭する参加者の皆さん

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 【写真】完成した作品

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