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駿台予備学校進学情報センター長が予測する理系分野の2015年度入試動向

三大予備校の中でも、国公立大・難関私立大理系の進学に定評がある駿台予備学校 進学情報センター長 石原賢一氏に、お話を伺ってきました。石原氏は、30年以上にわたり駿台予備学校に勤務し、常に大学入試対策の現場において、数多くのデータ分析を行い、 それに基づいた志望動向の変化や具体的な受験対策について、新聞や雑誌等のマスコミに多くのコメントを発信している一人です。前半では、2015年度入試 の動向予測について、後半では、どのように子供に接するべきかについて、保護者の方々への具体的なアドバイスを頂戴してきました。 

★石原氏が予測する『理系分野2016年度入試動向コチラ!前年度(2015年)の大学入試動向から見えてきた3つのキーワード:「新課程初年度入試」「現役中心入試」「文低理高終焉」について、また志望校合格に向けて「保護者の子供への関与の在り方」についてお届けいたします。

前半:2015年入試の動向予測

【文低理高】

文低理高の傾向が続きそうですが、背景について教えてください。

駿台予備校学校石原賢一氏し ばらくは、「文低理高」傾向は続きます。その理由としてふたつの背景があると思います。ひとつは、理系科目のほうが、子供たちが興味を持つ事柄が多くがあ るということ。例えば、文系に比べて多数のノーベル賞受賞者がでたり、建築界でも国際的な評価を得る機会があったり、また医師や看護師など、社会的にリス ペクトされる職業であったりと、子供たちから見てわかりやすい社会的評価を得ているからです。

もうひとつは、2002年度にスタートした文部科学省によるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)制度です。18歳人口の減少のため危ぶまれる 「技術立国日本」を骨太なものにし、世界に発信していくプロジェクトです。これにより、高大連携が円滑に進み、例えば、地元大学の理工系学部の先生が、高 校生に対して様々な科学事象などをリアルに体験させる出張授業(実験)が行われるようになり、子供たちにサイエンスを身近に感じられる機会を増やしまし た。これにより子供たちに理科系への興味を抱かせることができたということです。 

女子においても「文低理高」の傾向があるようですが、理系女子に人気の学部はどこですか?

そうですね、理系を志望する女子の数も徐々に増えてきていますね。男子と違って、女子のほうが就職をより敏感に感じているようで、国家資格取得が可 能な学部や学科、例えば、医療系(医学、保健看護)、生活科学系(食物管理、管理栄養士)、それと化学、農学部(応用生物)、生命科学系、建築も人気があ りますが、バリバリの建築ではなく、環境系やデザイン系で、土木工学への希望者は少ないです。

機械や電気電子といった工学部系を希望する女子は少ないようですが。

工学部に進学する女子の割合は10%弱程度です。女子は、具体的に見えやすい職業につながる学部を希望する傾向があるということと、もうひとつは保 護者の工学部に対するイメージが影響していると思います。例えば、「工学部に進学して、就職はどうするの?女子がメーカーに就職するの?」という保守的な 考えを持っている保護者がまだまだたくさんいらっしゃいます。つまり、保護者自身が大学を出た時代のイメージをもとに、アドバイスや判断をしてしまうケー スも少なからずあると思います。

「文系に比べ、理系出身者のほうが就職に有利」というイメージがありますよね。

今の大学生、中高生の保護者の方々の時代は、「私大総難化期」といわれ、圧倒的に文系有利な時代で大学時代をすごし、就職されたわけですが、昨今の ICT技術の進歩の中で、一般事務職のニーズは縮小し、厳しい就業時代となってきています。このような社会情勢の変化を考慮すると、将来の選択肢を広げる ためにも、子供たちには理系進学を薦める保護者が増えてきているのはないでしょうか。

なるほど。では、まだまだ「文低理高」の傾向が続くということですか?

しばらくは続くでしょうが、今年からSSHに加え、スーパーグローバルハイスクール(SGH)制度がスタートしています。これは次の時代を見据えた 取り組みのひとつです。SGHのスタートによって、これまであまり具体的に見えていなかった、国際系(文系)の学問や職業に触れる機会や場面が増えること で、国際系(文系)を希望する子供たちが確実に増えてくるでしょう。

【安定志向】

確実に現役合格できる大学を受験(安定志向型受験)する受験生が増えているようですが。

「どうしても現役で決めたい」と考える受験生と保護者の方が多いようです。夏休み明けもしくは秋頃の模試の結果を見て、志望校のランクを下方修正したいという相談を受けます。我々からすると、この時期に志望校を諦めてしまうというのは、少し早すぎる気がします。

一昔前は、今ほど「現役合格」に執着するという雰囲気はさほどなかったんですが・・・これも保護者の影響のひとつかもしれません。「浪人してもいい ことがない!」と根強く考える保護者も結構いらっしゃいます。保護者が受験生だった「私大総難化期」は、18歳人口は増えるし、大学進学率はアップすると いう二重苦の時代で、とにかく年々倍率が高くなって、入試が厳しくなっていった時代で、浪人しても志望校に合格できなかった受験生も多くいました。そのよ うな経験をしている保護者が安定志向になってしまうのは仕方がないことではありますが、今は18歳人口が減少してくる時代に突入しています。65歳、70 歳まで現役で働くという時代に、1年や2年の浪人時代なんて、なんでもないことです。

また、センター試験を受験する女子の割合は45%まで増えてきています。いずれは、50%になるでしょう。そうなると、「女の子が浪人?!」という時代でもなくなると思います。

長期化している景気の不透明さの影響もあるんでしょうか?

もちろん、経済状況という理由から浪人はさせられないというご家庭もあるかと思いますが、そういう方は少ないと思います。どちらかというと、景気が悪い時だからこそ、浪人してでもワンランク上の大学に入ったほうがいいということが言えるのではないでしょうか?

【多様化する入試方法】

理系は文系比べ、入試方法が多数あるようですが、多様化する入試方法について教えてください。

2016年度から東大は推薦入試(学部単位)を、京大は特色入試を導入し、この中で医学部医学科では「飛び入学」も実施します。既に一般選抜以外の 特別選抜(推薦、AOなど)を導入している難関大学(筑波大、東北大、慶応大、早稲田大・・・・など)がありますが、共通していえることは、「飛びぬけた 才能をもった学生」「国際的な場で活躍した実績を持っている学生(※)」を入学させたいという意図があるということです。(※国際科学オリンピックなどへ の参加者)

「高い学力(偏差値)があるから東大、京大へ進学しました」という学生や、「東大で2年間の前期(教養)課程を通して色々なことを学んで、それから 自分のやりたいことを探したい」という学生ではなく、「ロケットを飛ばしたいから宇宙工学を学びたい。そのためには最高の環境がある東大で学びたい」、 「医学研究者になって、ひとつでも病気を治したい。そのために一日でも早く京大医学部医学科で学びたい」という学生)を、特別選抜で一定数入学させたいと いうことが背景にあります。

したがって、「将来何がやりたいのか」、「そのために大学で何を学びたいのか」、「それを成し遂げるための資質があるのか」などが問われます(大学 によって特別選抜の内容は異なります)。 特に理系学部では、科学で、数学で、「尖った」特別な能力をもっている人材を育てて生きたいという強い意図が大 学側に働いています。

なるほど、理系学部では「尖った」特別な能力を持っている人材や強い「志」を持った人材を一定数入学させていく特別選抜が今後も行われるということですね。

石原様、ありがとうございました。引き続き、保護者の方々に向けた、受験生である子供とどう接するかについてお話をお伺いしたいと思います。

※次回は、受験業界を長年リードしてきた石原氏から保護者の方々へ、「どう受験生と接すべきか」など、具体的なアドバイスを伺ってきました。石原氏へのインタビュー「後半」も是非お楽しみください。

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★石原氏が予測する『理系分野2016年度入試動向コチラ!前年度(2015年)の大学入試動向から見えてきた3つのキーワード:「新課程初年度入試」「現役中心入試」「文低理高終焉」について、また志望校合格に向けて「保護者の子供への関与の在り方」についてお届けいたします。

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